あの頃40代の男の人が求めていたものが、同じくらいの歳になった今、分かる。

20代の頃、バイト先の40代の社員さんを好きになりました。彼は、奥さんとお子さんを彼の出身地に残し「単身赴任」中でした。

 

当初、大勢の人と一緒に働く中で彼はあまり「印象に残るタイプ」の人ではありませんでした。

 

ひとことで言うと「素朴」な感じ。ただ、彼は私の中に何か思うところがあったのでしょう、いつの間にか・・・本当にいつの間にか自然と仲良くなっていました。

 

彼からあからさまなお誘いがあったわけではありません。飲み会の席で隣になったぐらい。多分、男女を超えて人間的に「相性がよかった」のだと思います。

 

ある時、彼が借りていたマンションの最寄り駅で2人で飲みました。日曜日の夕方です。

 

「明日の仕事もあるし、そろそろ帰ろうか」という時間になり、彼が駅のホームで見送ってくれ、電車のドアが閉まりかけた・・・その時、彼が電車に飛び乗ってきました。

 

こちらとしては電車に飛び乗ってくるおじさん(髪の毛はふさふさでしたが)にびっくり。
「・・・なんだか、離れがたくって。」と彼が一言。

 

結局、次の駅でまた飲みなおしました。とにかく2人、よく会話した記憶があります。

 

仲はよかったけれど、酔っ払って腕を組むぐらいでそれ以上の関係はありませんでした。お互い、心のどこかでそれを望んでいなかったのだと思います。幸いにも周囲にばれることもなく、会うことはなくなりました。

 

そして私も人妻となり、当時の彼と同じくらいの歳に。

 

・・・今なら、彼の気持ちが分かる気がします。

 

多分彼が求めていたのは「男女の関係」ではなく、「約束しなくても会うことができる」毎日の中で、共通の人間関係をもち、笑いを共有し、秘密を共有している。学生時代のような感覚をもう一度取り戻したかったんじゃないかな・・・と。

 

日々の仕事、増えてくる責任、そんな中で「恋愛のドキドキ感」が日常生活から欠けていくことも「若い頃の記憶」がいかに輝いてみえるかも、今なら分かります。

 

彼の記憶の中に、あの頃が楽しい特別な時期として残っているといいな。